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特集 細胞外マトリックス
コラーゲンの架橋物質
著者: 藤本大三郎1
所属機関: 1東京農工大学農学部農芸化
ページ範囲:P.266 - P.269
文献購入ページに移動生体内においてコラーゲンは線維を形成している。線維はコラーゲン分子が規則的に会合したものであり,分子と分子は共有結合による橋かけ(架橋,クロスリンク)によって結合されている。架橋がコラーゲンの線維構造の保持に重要な役割をはたしていることはよく知られている。たとえば,架橋生成の阻害剤であるβ-アミノプロピオニトリルを若い動物に投与すると,骨の奇形,大動脈瘤,腱が裂けるなど,結合組織の強さの異常な低下をひき起こす1)。コラーゲンが,臓器や体の支持・補強,結合といった機能をはたすためには,架橋は欠くことができない。
一方,最近コラーゲンの細胞生物学的な機能が注目されている。すなわち,生体の中において細胞の接着,増殖,分化,移動などに重要な役割をもつことがわかってきた。しかし,コラーゲンと細胞の相互作用に,架橋がどのようにかかわっているかは,あまり研究がすすんでいない2)。
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