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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻4号

1988年08月発行

文献概要

特集 細胞外マトリックス

ラミニン

著者: 林利彦1

所属機関: 1東京大学教養学部化学教室

ページ範囲:P.275 - P.279

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 ラミニン(laminin)はTimplらにより1979年にはじめてEHS腫瘍組織から単離された糖タンパクである1)。基底膜(basement membraneあるいはbasallamina)を構成する巨大分子主成分の一つで,分子量は100万近い。基底膜の構造と機能においてⅣ型コラーゲンと同様にもっとも量も多く,もっとも重要な物質と考えられている。EHS腫瘍はマウスに作られる腫瘍である。この腫瘍組織からはⅣ型コラーゲンやラミニンの外にナイドジェン,エンタクチンなどの別の糖タンパク,二種のプロテオヘパラン硫酸などが単離されており,これらはどれも基底膜成分であることがわかっている2)。ラミニンはTimplらの最初の報告において,またその後の多くの研究において3-5),主として抗ラミニン抗体を用いる方法により,高等動物の各種臓器中の基底膜に局在することが証明された。
 ラミニン分子は独特の十字架形をしている。ラミニンは分子同志で会合するだけでなく,Ⅳ型コラーゲン,プロテオヘパラン硫酸,上皮細胞の細胞膜中のラミニンリセプターあるいはナイドジェンなど他の基底膜成分との結合能を有する。各物質に対する結合部位は分子中の各ドメインに分散しているマルチドメインタンパクである4)。この点はフィブロネクチンとの類似性が存在する6)。ここではラミニン分子の化学構造,他の分子との相互作用,生物学的機能などについて簡潔に述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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