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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻4号

1988年08月発行

文献概要

特集 細胞外マトリックス

基底膜と細胞の相互作用

著者: 井出千束1 遠山稿二郎1 大沢得二2 牛木辰男1

所属機関: 1岩手医科大学医学部解剖学教室 2岩手医科大学歯学部口腔解剖学教室

ページ範囲:P.280 - P.286

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 I.基底膜の形態学
 基底膜は,筋線維(骨格筋,心筋,平滑筋を含めて)の表面,内皮細胞や上皮細胞の底部,シュワン細胞の表面,中枢神経グリア境界膜の表面に見られる。また脂肪細胞の表面にも不完全な基底膜が存在する。基底膜は一般にこれらの細胞が結合組織と接する境界部に形成されるとみることができる。筋線維は細胞全周が結合組織に接するので全表面が基底膜に被われているが,上皮細胞や内皮細胞の場合には,管腔側や隣の細胞に接する面には形成されず,結合組織に接する底部にのみ形成される。シュワン細胞の場合も同様で,軸索に接する面は基底膜を持たず,結合組織に接する細胞表面にのみ基底膜が形成される(図1)。グリア境界膜では星状膠細胞の突起が軟膜の結合組織成分に接する場所に基底膜が存在する。
 光学顕微鏡での基底膜の同定はPAS染色や鍍銀法によった。電子顕微鏡では,光顕でいう基底膜(basementmembrane)に相当する場所に細胞膜と一定の間隙を保って,電子密度のやや高い無構造な物質の層を認める。この層の厚さはだいたい50〜100nmで,basal laminaまたはlamina densaとよばれ,主にⅣ型コラーゲンからなる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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