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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻4号

1988年08月発行

特集 細胞外マトリックス

フィブロネクチン

著者: 伊勢村護1

所属機関: 1静岡県立大学食品栄養科学部生化学教室

ページ範囲:P.299 - P.302

文献概要

 フィブロネクチン(FN)は,動物細胞表面や組織,体液中に存在する高分子量の糖蛋白質で,とくに培養細胞の癌化に伴って細胞表面から消失することで大きな注目を集めたものである。その生理機能として,細胞の接着,伸展,移動,増殖,分化など細胞の基本的活動に関与することが挙げられ,また,食作用を促すオプソニンとして,細胞遊走因子として作用することや,止血,血栓にも関係することが知られている。
 FNのもつ基本的な特性は,細胞の接着因子としての性質であり,また様々な生体物質と結合できることである。ヒトFNに対する抗体と反応するものが,調べられたすべての脊椎動物とカイメンを含む多くの無脊椎動物に存在する注1)ことから,FNは動物多細胞体制形成に基本的に重要であり,また,進化の過程でも構造的によく保存された蛋白質であるといえる1)。カイメンの細胞凝集には,FNとは別の2種の糖蛋白質が関与していることがわかっている2)が(後述),抗FN抗体によって凝集が阻害されるという報告3)もあり,もっとも下等な多細胞生物の生体形成にもFNが関与している可能性はきわめて高い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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