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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻4号

1988年08月発行

文献概要

解説

カルモデュリン結合蛋白質—カルデスモンの生理機能について

著者: 祖父江憲治1 宮本美也子1

所属機関: 1大阪大学医学部バイオメディカル教育研究センター高次神経医学部門神経生化学

ページ範囲:P.322 - P.331

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 細胞内Ca2+メディエーターの一つであるカルモデュリンが発見され,広汎な細胞機能に関与していることが示唆されるようになってはや20年が経過する。カルモデュリン発見当時,研究の中心はカルモデュリンの細胞内作用機作,ことにCa2+・カルモデュリン依存性酵素群の検索に置かれた。その後,酵素活性を持たない一連の細胞骨格関連カルモデュリン結合蛋白質群(サイトキャルビン,cytocalbin;cytoskeleton-interacting calmodulin-binding proteinの略名)が発見あるいは同定され,現在ではCa2+・カルモデュリンを介する細胞骨格制御系の研究が展開されている。これらの研究結果から,カルモデュリンは酵素系とサイトキャルビン系の機能制御を介して,細胞機能発現に関与していることが次第に明らかになってきた。カルモデュリンを介する情報伝達系についてはこれまでにいくつかの総説で述べてきたので1-4),本稿では代表的サイトキャルビンであるカルデスモンを中心にその生理機能について述べてみたい。この蛋白質は発見後7年を経た現在,各国の研究者からの報告が相次いでいる。しかしながら,今なお各研究室間で矛盾した成果が報告されるなど一定した結論には至っていない。ここではその問題点にもふれながら,カルデスモンの生理機能を通してCa2+による収縮系制御機作を概観してみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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