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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻5号

1988年10月発行

文献概要

特集 細胞測定法マニュアル 細胞内イオン濃度測定法 細胞内カルシウムイオン濃度測定

エクオリン発光法—卵細胞を中心にして

著者: 吉本康明1

所属機関: 1関西医科大学教養部生物教室

ページ範囲:P.355 - P.358

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 1962年に下村ら1)は発光クラゲ(Aequorea aequorea)から,Ca2+またはSr2+で特異的に発光する発光タンパク質(photoprotein)を抽出することに成功し,エクオリン(aequorin)と名づけた。このエクオリンの発光には酸素やATPは不用で,Ca2+を引き金として発光する特異な性質を持っているので,現在微量のCa2+を測定するのに広く利用されている。
 とくに卵細胞においては,1976年にRidgwayら2,3)がエクオリンをメダカ卵に注入し,直接卵内のCa2+濃度変化を測定するのに成功して以来,この方法がさまざまな卵で幅広く応用され,成熟,受精,卵割などの現象とCa2+濃度との関係が研究された。この手法はそれまで筋細胞4)や神経細胞5)などで細胞内Ca2+の測定に用いられていた感度の高い測定法で,現在では卵細胞のみならず,さまざまな動,植物細胞で利用されている。また最近の高感度ビデオカメラの発達にともなって,エクオリンの発光による細胞内Ca2+の映像化の研究も進んでいる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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