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特集 細胞測定法マニュアル 細胞内イオン濃度測定法 細胞内カルシウムイオン濃度測定
Ca濃度指示螢光色素法(筋細胞)
著者: 金出英夫1
所属機関: 1九州大学医学部心研・臨床細胞科学部門
ページ範囲:P.366 - P.368
文献購入ページに移動 Ca濃度指示螢光色素とその問題点
1.色素
筋細胞の収縮弛緩は,細胞質Caイオン濃度,〔Ca〕iの増減によって制御されている。このため,従来,種々の方法によって筋細胞の〔Ca〕i記録が試みられたが,細胞を傷つけることなく,これを行うことは困難であった。ことに血管平滑筋細胞のように小さな細胞では,〔Ca〕iの記録は不可能に近いとされていた。
1980年,Tsienは細胞内イオン環境に似た状態(K125mM,Na20mM,Mg1mM,pH7.05,37℃)で,きわめて高いCa親和性(Kd=115nM)を有し,Caとの結合によって螢光を発する螢光色素quin 2の合成に成功した。quin 2は,一般的な細胞の〔Ca〕iレベルと考えられる10−7〜10−6MのCaを検出し,細胞内レベルのMgやpHの影響を受けにくい1)。quin 2はEGTAに類似の構造を有し,四つのカルボキシル基においてCaと1:1の錯形成をすると,螢光強度は5倍となる。励起および螢光スペクトルのピークは,それぞれ339nm,490nmにある。quin 2自身は細胞膜を通過しないので,細胞内に取込ませるためには,quin 2の四つのカルボキシル基のすべてにアセトキシメチル基を結合させたquin 2/AMが用いられる。
1.色素
筋細胞の収縮弛緩は,細胞質Caイオン濃度,〔Ca〕iの増減によって制御されている。このため,従来,種々の方法によって筋細胞の〔Ca〕i記録が試みられたが,細胞を傷つけることなく,これを行うことは困難であった。ことに血管平滑筋細胞のように小さな細胞では,〔Ca〕iの記録は不可能に近いとされていた。
1980年,Tsienは細胞内イオン環境に似た状態(K125mM,Na20mM,Mg1mM,pH7.05,37℃)で,きわめて高いCa親和性(Kd=115nM)を有し,Caとの結合によって螢光を発する螢光色素quin 2の合成に成功した。quin 2は,一般的な細胞の〔Ca〕iレベルと考えられる10−7〜10−6MのCaを検出し,細胞内レベルのMgやpHの影響を受けにくい1)。quin 2はEGTAに類似の構造を有し,四つのカルボキシル基においてCaと1:1の錯形成をすると,螢光強度は5倍となる。励起および螢光スペクトルのピークは,それぞれ339nm,490nmにある。quin 2自身は細胞膜を通過しないので,細胞内に取込ませるためには,quin 2の四つのカルボキシル基のすべてにアセトキシメチル基を結合させたquin 2/AMが用いられる。
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