文献詳細
特集 細胞測定法マニュアル
細胞内イオン濃度測定法 細胞内カルシウムイオン濃度測定
文献概要
細胞内の微小部または小器官内の各種イオン(元素)濃度を測定する方法に,電子プローブX線微小部分析法(electron probe X-ray microanalysis:XMA)がある。この方法は,まず各種細胞の凍結超薄切片を作製し,電子顕微鏡でその切片上の細胞および細胞内小器官を観察しながら,その時,照射される電子線によって細胞内の微小各部より二次的に生ずるX線を,電顕に装着したX線検出分析装置でとらえ,そのX線スペクトラムより細胞内微小部の元素濃度を,標準試料より得た検量線を用いて測定する方法である1,2)。
このようにしてXMAで細胞内微小部(直径約0.1μm)のNa,Mg,P,S,Cl,K,Caのような元素の濃度を得ることができるが,Na,Cl,Kのようなイオン化傾向の強い元素は,そのままイオン濃度を反映する値として考慮し得るが,Ca濃度の場合はイオン化傾向がきわめて小さいので,その値はイオン濃度とはまったく違った値となることに注意が必要である。細胞内あるいは細胞内小器官内のCaは,大部分がカルシウム結合蛋白のような物質と結合して存在しているのであり,XMAで測定されるのはこれらの結合Caと遊離Ca(Caイオン:Ca2+)の総量である。
このようにしてXMAで細胞内微小部(直径約0.1μm)のNa,Mg,P,S,Cl,K,Caのような元素の濃度を得ることができるが,Na,Cl,Kのようなイオン化傾向の強い元素は,そのままイオン濃度を反映する値として考慮し得るが,Ca濃度の場合はイオン化傾向がきわめて小さいので,その値はイオン濃度とはまったく違った値となることに注意が必要である。細胞内あるいは細胞内小器官内のCaは,大部分がカルシウム結合蛋白のような物質と結合して存在しているのであり,XMAで測定されるのはこれらの結合Caと遊離Ca(Caイオン:Ca2+)の総量である。
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