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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻5号

1988年10月発行

文献概要

特集 細胞測定法マニュアル 核酸・蛋白質定量法

単一細胞内プロテアーゼ活性測定法

著者: 村松睦1

所属機関: 1徳島文理大学薬学部

ページ範囲:P.423 - P.425

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 蛋白質の消化吸収に関する研究から始まったプロテアーゼの研究は,プロテアーゼの生体制御機構への関与が明らかになるとともに,体液性のプロテアーゼ,とくに血液凝固系,線維素溶解系,血管作動性ペプチド生成系などの研究へと進展した。さらに今日では,細胞内諸現象へのプロテアーゼの関与が注目され,細胞内プロテアーゼの研究が主流をなしつつある。このようなプロテアーゼ研究の流れは,また同時にプロテアーゼ活性測定法の原理的および測定機器の技術的進歩によって促進されている。すなわち1950年代においては,基質に10−3M以上の変化がなければ,プロテアーゼ活性の測定ができなかったが,現在では10−9Mの変化をも追究可能となり,きわめて微量のプロテアーゼの存在をも認識できるようになった。プロテアーゼの種類によっては数万コの細胞があれば,十分測定が可能になっている。
 このような研究の流れの中にあって,われわれの研究室では,数年前から,肥満細胞からのヒスタミン遊離機構の研究,およびHeLa細胞の増殖機構に関する研究を行っているが,いずれも,これらの機構には,細胞内プロテアーゼの関与が推測される結果を得ている。細胞内プロテアーゼのこれらの機構への関与,作用機構を解明するためには,細胞を磨砕することなく,生きた状態でプロテアーゼ活性を測定する必要が生じ,その測定法を案出した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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