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特集 細胞測定法マニュアル 細胞膜透過性
物質透過性変化
著者: 北川隆之1
所属機関: 1国立予防衛生研究所化学部化学療法剤室
ページ範囲:P.440 - P.442
文献購入ページに移動 細胞膜における物質透過性や輸送は細胞に必要な栄養素やイオンの吸収・排出を行うと同時に,その調節により細胞内イオン濃度,pH,代謝産物濃度などの内部環境を一定に保ち細胞活動の維持に役立っている。この細胞膜における物質透過系は,1)単純拡散(simple diffusion),2)促進拡散(facilitated diffusion),3)能動輸送(active transport)に大きく分類できる。1)と2)はともにエネルギーを必要とせず,細胞内外の濃度差によって物質透過が起こるのに対し,3)はエネルギーを利用して濃度差に逆らった物質輸送を行う。また,2),3)は細胞膜に存在する特異的な輸送担体(carrier protein)を介する点で1)と区別される。薬物などの吸収・排出も多くの場合これらの物質透過系によって行われている。
物質透過性に関する研究は微生物より高等動物に亘る各種生物において広範な研究が行われている。各透過系に関する詳細な研究に加えてその調節機構についての研究も興味深く,動物細胞においては成長因子などのホルモン作用,細胞増殖,癌化や分化に伴い種々の物質透過性変化が起こることが知られており,この方面の研究も活発に行われている1)。
物質透過性に関する研究は微生物より高等動物に亘る各種生物において広範な研究が行われている。各透過系に関する詳細な研究に加えてその調節機構についての研究も興味深く,動物細胞においては成長因子などのホルモン作用,細胞増殖,癌化や分化に伴い種々の物質透過性変化が起こることが知られており,この方面の研究も活発に行われている1)。
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