文献詳細
特集 細胞測定法マニュアル
細胞膜透過性 イオン透過性
文献概要
MDCK細胞は1958年にMardinとDarbyにより正常雌成犬(コッカスパニエル)の腎より分離された上皮性の培養細胞である。この細胞は培養下で細胞が相互に接触する密度になると細胞間に閉鎖帯ができ,また細胞には極性が分化し,apical側とbasolateral側とが区別でき,いわゆる単層上皮が形成され,経細胞膜輸送に加えて経上皮輸送を行う。シャーレなど非透過性基材上に細胞を播種したとき,経上皮輸送に伴い溶液が単層上皮と基材との間に貯留し,domeあるいはblisterとよばれる構造が認められる。メンブランフィルターなど透過性基材に細胞を播種したときも単層上皮を形成するが,基材と細胞単層上皮との間に溶液の貯留はなく生体内の上皮のように経上皮輸送を行う。MDCK細胞の単層上皮は遠位尿細管,ヘンレ係蹄の太い上行脚の上皮細胞の輸送系に類しているため,腎上皮輸送とその制御の研究モデルとして注目されている1)。
ここではMDCK細胞の単層上皮形成法,単層上皮全体および細胞膜イオン輸送測定法,単層上皮の特性について述べる。
ここではMDCK細胞の単層上皮形成法,単層上皮全体および細胞膜イオン輸送測定法,単層上皮の特性について述べる。
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