文献詳細
特集 細胞測定法マニュアル
細胞膜流動性測定法
文献概要
1968年にHubbellやKeithらによって生体膜に応用された電子スピン共鳴法(ESR法)は,フリーズ・エッチング電顕とともに流動モザイク膜モデル説の重要な根拠を提供した。膜流動性(fluidity)を調節する因子にもいろいろあり,そのなかでも脂質の果たす役割は大きいが,タンパク質の関与も重要である。主要な脂質因子として,リン脂質の脂肪酸側鎖とステロールがあり,この両者の変化によって膜流動性は著しい影響をうける。一般に,不飽和脂肪酸は膜流動性を高め,飽和脂肪酸はそれを低下させる。またステロールは,相転移(phasetransition)より高い温度では流動性を減少させる作用があり,相転移温度より低いところではむしろ流動性を増すように働くという二役作用(dual effect)を示す。ところで,膜脂質分子の運動には側方拡散(lateral diffusion)とフリップ・フロップ(flip-flop)とがあり,タンパク質の膜内の運動には側方拡散,回転(rotation)とがある。ここでは,膜脂質層のスピンラベル法による流動性の測定について述べる。
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