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特集 細胞測定法マニュアル 細胞運動測定法
細胞移動 金貪食法
著者: 児玉隆治1 江口吾朗1
所属機関: 1岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所
ページ範囲:P.478 - P.479
文献購入ページに移動 金貪食法は,培養細胞が移動した軌跡を可視化する方法として,1977年にAlbrecht-Buehlerによって紹介された1)。この方法は,塩化金酸溶液を還元してえられた直径数ミクロンの金の微粒子をカバーガラス上に一面に付着させた上に細胞をまき,一定時間培養してから検鏡すると,細胞の軌跡が金微粒子の排除された部分として観察できるという簡便な方法である。この軌跡は,細胞移動と食作用との両方の効果によるものと考えられたので,phagokinetic trackとよばれる。高価な設備を用いることなく,多くの細胞について観察できるという点ですぐれている。
その用途は,①軌跡の形態の観察,および②軌跡の距離・面積の測定による運動性の定量,の二つに大別できる。Albrecht-Buehler自身は主に前者の用いかたをしており,分裂後の娘細胞の軌跡の間に鏡像関係があることや,細胞の移動方向と中心体の位置との間に一定の関係があることを報告している。後者の例は数多いが,そのほとんどは細胞の変異株(mutant,variant)の間の比較や,ある細胞に薬剤などの液性因子(血管新生因子,EGF,TFPなど)を加えた場合の運動性の変化をみるためのパラメータとして用いられている。細胞が異なると,その軌跡の形状も大きく異なるので単純な定量化が難しいことがその理由であろう。
その用途は,①軌跡の形態の観察,および②軌跡の距離・面積の測定による運動性の定量,の二つに大別できる。Albrecht-Buehler自身は主に前者の用いかたをしており,分裂後の娘細胞の軌跡の間に鏡像関係があることや,細胞の移動方向と中心体の位置との間に一定の関係があることを報告している。後者の例は数多いが,そのほとんどは細胞の変異株(mutant,variant)の間の比較や,ある細胞に薬剤などの液性因子(血管新生因子,EGF,TFPなど)を加えた場合の運動性の変化をみるためのパラメータとして用いられている。細胞が異なると,その軌跡の形状も大きく異なるので単純な定量化が難しいことがその理由であろう。
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