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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻5号

1988年10月発行

文献概要

特集 細胞測定法マニュアル 細胞運動測定法

細胞移動 ゾウリムシの遊泳軌跡の測定法—遊泳軌跡からの繊毛活性の推定

著者: 杉野一行1 内藤豊1

所属機関: 1筑波大学生物科学系

ページ範囲:P.485 - P.490

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 ゾウリムシやテトラヒメナなどの原生動物繊毛虫類の遊泳運動は,細胞表面を覆う数多くの繊毛の動きに依存している。繊毛は,丁度ガレー船のオールのように周囲の水を後方へ押し,その反動で細胞を前進させる。しかし繊毛虫はいつも前進ばかりしているわけではない。ゾウリムシは,障害物や有害な化学物質に出くわしたり光が当たったりすると,泳ぐ方向を変えたり(回避反応)泳ぐ速さを変えたり(逃走反応)する。このような運動性反応は,すべて繊毛の動き(繊毛運動)の刺激に対する変化(繊毛反応)に依存している。運動性反応の結果,繊毛虫はいろいろな刺激に対する走性行動を示すことになる1)
 繊毛の運動活性は,水を押す方向に当たる有効打の方向と,水を押す強さに当たる繊毛打の強度の二つのパラメーターで記述することができる。繊毛打の形状すなわち繊毛打中の繊毛の形の変化がいつも同じであれば,繊毛打の強度は繊毛打の頻度と見なすことができる。ゾウリムシは主に有効打の方向と繊毛打の頻度を環境条件に応じて変化させている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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