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特集 細胞測定法マニュアル 細胞運動測定法
分泌量測定(微量定量測定) 培養細胞からのカテコールアミン放出測定法
著者: 熊倉鴻之助1
所属機関: 1上智大学生命科学研究所神経化学部門
ページ範囲:P.506 - P.509
文献購入ページに移動 培養細胞からのカテコールアミン(CA)放出の測定には一般に,単位時間当りに細胞外液中に放出蓄積されたCAを抽出定量する,いわゆるバッチ法が用いられる。この方法には,(1)放出された内因性CAを定量する方法と,(2)あらかじめラジオアイソトープで標識されたCAを細胞に取り込ませた後に放出された放射活性を測定する方法がある。後者の方がより微量な放出を測定できるが,近年の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)と電気化学検出器(ECD)の発達により,前者の方法の測定感度もまた飛躍的に増大している。総量として単位時間当りにどれだけの量が放出されたかは,このバッチ法で十分に測定できるが,放出現象を時間軸上で解析することは困難である。この点は電気生理学的手法に比較して生化学的手法の大きな弱点であり,測定感度の増大では克服できない点である。
筆者らは,副腎髄質細胞からのCA放出過程を時間軸上でより正確にとらえることを目的に,CA放出過程を連続測定する手法(リアルタイム・モニタリング法)を開発した1)。この手法には電気化学的検出法を用いているために,実験条件の設定やデータ解析で特に慎重を要する点もあるが,放出動態を連続的に測定できる点以外に,極微量の放出も測定できる,直接的測定であるので放出の大きさをただちに知ることができる,細胞への繰り返し刺激や多重刺激を与えて各々の刺激への応答成分を検出できるなど,測定法として優れた点がある。
筆者らは,副腎髄質細胞からのCA放出過程を時間軸上でより正確にとらえることを目的に,CA放出過程を連続測定する手法(リアルタイム・モニタリング法)を開発した1)。この手法には電気化学的検出法を用いているために,実験条件の設定やデータ解析で特に慎重を要する点もあるが,放出動態を連続的に測定できる点以外に,極微量の放出も測定できる,直接的測定であるので放出の大きさをただちに知ることができる,細胞への繰り返し刺激や多重刺激を与えて各々の刺激への応答成分を検出できるなど,測定法として優れた点がある。
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