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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻5号

1988年10月発行

文献概要

特集 細胞測定法マニュアル 細胞運動測定法

分泌量測定(微量定量測定) 個々の細胞からのホルモン放出量測定法—reverse hemolytic plaque assay

著者: 服部淳彦1 鈴木卓朗1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学第1解剖学教室

ページ範囲:P.510 - P.512

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 従来,"ホルモンの放出量"といえばin vivo,in vitroを問わず,それぞれの内分泌器官における細胞群全体の反応としてしか取り扱うことができなかった。本稿で紹介するreverse hemolytic plaque assayは,1個の細胞からのホルモン放出量を測定できる画期的な方法である。元来この方法は,B cellの抗体産生能を検定するhemolytic plaque assayの変法として,抗原放出能の検定に開発されたものである1)。1983年Neillら2)の一派によって初めて下垂体学に導入されたが,現在まで筆者ら3)を含めても世界で3,4のグループから発表されているのみである。下垂体にとどまらず,抗原を放出する細胞であればどんな細胞にでも適用できる特徴を持っており,今後急速に普及していくものと思われる。
 この方法の原理は,細胞の回りに放出されたホルモンが抗体と結合し,さらにprotein Aを介して赤血球と結合した後,補体によってホルモン—抗体のcomplexが形成された赤血球のみに溶血が生じるというものである。したがって,細胞の回りに形成された溶血斑の面積を測定すれば,1個の細胞から放出されたホルモン量が算出できるわけである。本稿では現在当教室で行っている方法について紹介する〔なお本法の基礎となっているNeillら(1986)4)の方法を合せて参考にされるとよい〕。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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