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特集 細胞測定法マニュアル 細胞運動測定法
単一細胞の測定 Single fiber張力測定(骨格筋)
著者: 飯野正光1
所属機関: 1東京大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.523 - P.524
文献購入ページに移動 骨格筋単一線維(single fiber)は,イカの巨大軸索とともにもっとも古くから研究に用いられてきた単一細胞であり,興奮収縮連関および筋収縮機構の研究に重要な役割を果たしてきた。単一線維は全筋標本に比べて調整が格段に難しいが,次のような点で優れており,定量的な実験に欠かすことができない。1)細胞周囲の溶液を急速に変えることができる。これに対し全筋では,標本の最外層と中央部では拡散に要する時間のために実際に溶液が変わるには何十秒もの時間差が生じる。2)腱の長さを短くすることができ,それに起因するコンプライアンスを小さくできる。3)個々の細胞の反応を知ることができる。一方,全筋は速筋と遅筋という性質の異なった筋線維が混じり合っているので全体の平均しかみることができない。また骨格筋の収縮は筋節長に強く依存するが,全筋ではすべての筋線維の筋節長を一つの値にすることは困難である。
単一線維は,種々の方法論と組み合わせて用いられる。たとえば,最近ではエクオリンやカルシウム指示薬を注入して細胞内カルシウム濃度を測定したり,X線回折法で微細構造の変化を調べたりする。また,細胞膜を除去してスキントファイバー標本として用いることもある。張力にしても,筋線維の一部分の筋節長を常に一定に保つようにして測定が行えるようになってきた。ここでは,もっとも基本的な張力測定法について述べる。
単一線維は,種々の方法論と組み合わせて用いられる。たとえば,最近ではエクオリンやカルシウム指示薬を注入して細胞内カルシウム濃度を測定したり,X線回折法で微細構造の変化を調べたりする。また,細胞膜を除去してスキントファイバー標本として用いることもある。張力にしても,筋線維の一部分の筋節長を常に一定に保つようにして測定が行えるようになってきた。ここでは,もっとも基本的な張力測定法について述べる。
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