icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻5号

1988年10月発行

文献概要

特集 細胞測定法マニュアル 細胞運動測定法

粘菌変形体小片の周期的収縮運動の解析

著者: 石上三雄1

所属機関: 1滋賀大学教育学部生物学教室

ページ範囲:P.525 - P.526

文献購入ページに移動
 粘菌Physarum polycephalum変形体は,その流動方向が周期的に反転する往復原形質流動を示す。この往復流動は変形体内に生じる圧力差が周期的に変化することによっているが,その圧力差ができるのは,変形体ゲル層に存在するアクトミオシン-ATP系の収縮装置による周期的張力発生のレベルおよび位相が位置的にずれているためだと考えられている1)。変形体ゲル層の収縮装置はアクトミオシン線維(電顕的には巨大な微小線維の束)という形態をとるが,これは骨格筋の筋原線維のように構造的に安定なものではなく,変形体の収縮弛緩と同期して形成崩壊を繰り返すきわめてダイナミックな構造である。これらのことから粘菌変形体はアクトミオシン系の非筋細胞運動装置の動的変化を張力発生と結びつけて研究する恰好の材料だと考えられている。
 ここでは,種々の生理的条件でのアクトミオシン系収縮装置のダイナミックスの研究に有用な変形体小片の周期的収縮弛緩運動と,それに同期して生起するアクトミオシン線維の動的変化について方法論的観点から述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?