文献詳細
特集 細胞測定法マニュアル
細胞光学特性測定法
文献概要
光散乱法の生物学的応用はすでに30年余の歴史を持つものであり,古くはDebyeによる高分子の分子量の測定から新しくはレーザー・ドップラー顕微鏡による原形質流動の測定が挙げられる。しかしながらこれらの測定法は,より正確でより新しい方法によってとって代られつつあり,光散乱法でなければ測定できない物理現象とは一体何か?を指摘するのにむしろ困難を覚える程である。しかしこのような時期にあえて光散乱法を取り上げる理由はもちろん十分に存在する。いまもしわれわれが,(a)膜融合現象をリアルタイムで観測する,(b)伝達物質の遊離初速度と方向を測定する,といったような問題に直面したとするならば,多分レーザー光散乱スペクトロスコピーを用いるのが現在でももっとも良い方法であろうと思われるからである。なおここでは紙数の制約から,データの解析法などについては一切触れない積りである。
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