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特集 細胞内における蛋白質局在化機構
細胞内転送—到達点と問題点(特集によせて)
著者: 大村恒雄1
所属機関: 1九州大学医学系研究科分子生命科学教室
ページ範囲:P.542 - P.543
文献購入ページに移動 本特集では,核,ミトコンドリア,ペルオキシソームなどの細胞小器官に局在している蛋白質が,細胞内で生合成されてからそれぞれの小器官へ選択的に運ばれ定着する機構についての最近の研究状況を概観することができる。蛋白質の細胞内転送と細胞内局在化の機構は,それ自体もちろん興味ある研究対象であるが,この機構の解明は細胞レベルでのさまざまな現象を理解するための基礎としても重要であろう。
蛋白質の細胞内転送は,粗面小胞体の膜結合リボソームで合成された蛋白質が小胞体,ゴルジ装置をへて分泌顆粒,細胞膜,リゾソームに至る径路(膜結合リボソーム径路)と,遊離リボソームで合成された蛋白質が直接に核,ミトコンドリア,ペルオキシソームなどへ取り込まれる径路(遊離リボソーム径路)とに大別できるが,いずれの径路についても最初に問題となったのは蛋白質の種類によって細胞内の転送径路が選択される機構であった。この問題を解明する突破口となったのは1975年にBlobelらにより発表された分泌蛋白質についてのシグナル仮説1)であり,分泌蛋白質に共通な小胞体膜通過シグナルが膜通過時に切断除去されるアミノ末端都分のアミノ酸配列に存在するとの発見であった。
蛋白質の細胞内転送は,粗面小胞体の膜結合リボソームで合成された蛋白質が小胞体,ゴルジ装置をへて分泌顆粒,細胞膜,リゾソームに至る径路(膜結合リボソーム径路)と,遊離リボソームで合成された蛋白質が直接に核,ミトコンドリア,ペルオキシソームなどへ取り込まれる径路(遊離リボソーム径路)とに大別できるが,いずれの径路についても最初に問題となったのは蛋白質の種類によって細胞内の転送径路が選択される機構であった。この問題を解明する突破口となったのは1975年にBlobelらにより発表された分泌蛋白質についてのシグナル仮説1)であり,分泌蛋白質に共通な小胞体膜通過シグナルが膜通過時に切断除去されるアミノ末端都分のアミノ酸配列に存在するとの発見であった。
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