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特集 細胞内における蛋白質局在化機構
小胞体—ゴルジ体間蛋白質輸送における選別機構
著者: 吉森保1 田代裕1
所属機関: 1関西医科大学第一生理学教室
ページ範囲:P.544 - P.550
文献購入ページに移動 真核細胞における蛋白質の輸送経路の中でも,小胞体(ER)-ゴルジ体系は分泌蛋白質,膜蛋白質,ライソゾーム蛋白質などが合成され運ばれる量的にも質的にも重要ないわば「幹線道路」である。シグナルペプチドとその認識機構の発見により最初の選別ステップ,つまり粗面小胞体内への蛋白質の移行過程はかなり詳細に理解されるようになった。しかしERで合成された蛋白質がその後目的地に至るまでたどる道程での選別の機序はまだほとんどわかっていない。この「幹線道路」では多種多様の新生蛋白質の中からまずERに留まる蛋白質とゴルジ体へ輸送されるものが選別され,次にゴルジ体でゴルジ体に留まるものとさらに細胞外,細胞膜,ライソゾームなどの最終目的地に向けて輸送されるものとが選別されねばならない。これらの選別は特異的で厳密に行われていることが各種の研究から明らかになりつつある。細胞はどのようにしてそれを成し遂げているのであろうか。最近,ERからゴルジ体への蛋白質輸送に関して画期的な研究が出だし,この分野も俄かに具体性を帯びて活気づいてきた。そこで本稿ではER-ゴルジ体の蛋白質選別輸送機構についての最近の知見をまとめてみたい。
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