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文献詳細

雑誌文献

生体の科学39巻6号

1988年12月発行

文献概要

特集 細胞内における蛋白質局在化機構

ミトコンドリア局在化のシグナル:チトクロムP-450

著者: 伊藤明夫1

所属機関: 1九州大学理学部生物学教室

ページ範囲:P.559 - P.562

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 真核生物の細胞内には数多くの異なるタンパク質が存在しているが,それらは無秩序に分布しているのではなく,特定のタンパク質は特定の細胞小器官の特定の場所に局在することにより,細胞全体として統一のとれた活動に参加している。したがって,細胞の恒常性の維持とその調節にとって,タンパク質の細胞内局在化機構,すなわち,特定のタンパク質を特定の小器官に送り込む特異的な選別はもっとも重要な機構の一つである。
 ミトコンドリアはクロロブラストと同様,独自のDNAやタンパク質合成系を備えており,独自のタンパク質を合成している。しかし,ここで合成されるタンパク質はわずか十数種であって,大部分のタンパク質は核内のDNAの中にその情報が貯えられており,細胞質のリボソーム上で合成され,ミトコンドリアに特異的に送り込まれる1,2)。われわれはステロイド産生細胞のミトコンドリアの内膜に局在するチトクロムP-450(P-450)を例に,これらのタンパク質が内在している自身の行き先を決めているシグナルの実体と,ミトコンドリアに存在するシグナルの受容機構が何かを調べてきた。本稿では,前者についての最近の知見を紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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