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実験講座
透明導電膜を応用した顕微鏡用灌流恒温装置
著者: 百瀬弥寿徳1 豊富誠三1
所属機関: 1富山医科薬科大学医学部薬理学教室
ページ範囲:P.593 - P.597
文献購入ページに移動 パッチクランプ法などの電気生理学あるいは遺伝子注入技術のようなバイオテクノロジーの研究分野では,細胞を倒立顕微鏡下で観察しながら実験が行われている。これらの実験で用いられる単一細胞,卵細胞,培養細胞などを入れるチャンバーの容積は,ふつう1〜2mlと小さいため,チャンバーの温度をコントロールすることが難しく,室温で実験せざるを得ないというのが実情のようである。
生体機能あるいは生体反応系における温度の影響の重要性は改めて述べるまでもないが,筆者らの1人(百瀬)は,モルモット心室筋単一細胞を用いた研究において,カテコールアミンの作用が著しい温度依存性を示すことから,顕微鏡下で細胞を入れるチャンバーと灌流液の温度を同時に制御できる簡便な装置の必要性をかねてより痛感してきた。そこでわれわれはガラスなどの透明基板上に真空蒸着された透明導電膜1,2)(透明で導電性のある薄膜)を発熱体として利用し,灌流液と細胞チャンバーを顕微鏡ステージ上であたためて温度制御する,新しい方式の装置を開発した。
生体機能あるいは生体反応系における温度の影響の重要性は改めて述べるまでもないが,筆者らの1人(百瀬)は,モルモット心室筋単一細胞を用いた研究において,カテコールアミンの作用が著しい温度依存性を示すことから,顕微鏡下で細胞を入れるチャンバーと灌流液の温度を同時に制御できる簡便な装置の必要性をかねてより痛感してきた。そこでわれわれはガラスなどの透明基板上に真空蒸着された透明導電膜1,2)(透明で導電性のある薄膜)を発熱体として利用し,灌流液と細胞チャンバーを顕微鏡ステージ上であたためて温度制御する,新しい方式の装置を開発した。
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