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人體貯藏蛋白に關する研究(其の一)
著者: 吉村壽人1
所属機関: 1京都府立醫科大學生理學教室
ページ範囲:P.66 - P.73
文献購入ページに移動私共がこの研究を始めたのは終戰時の食糧難の時代1100Calの配給食で榮養失調症の多發していた時の事である。當時私共は人體はこの樣な僅かな食糧に對しては體蛋白の異化によつてエネルギー需要に應ずるの外なく,その爲に人體諸藏器の細胞原形質が消耗し,これはやがて細胞新陳代謝そのものを低下せしめて基礎代謝量を減じ,減食に適應して行く事を知つた1)。又この場合に表れる諸種の生理的障碍は體蛋白の消耗に基因する所が大きい事を見た2)。そこで私はこの樣な蛋白缺乏の起つた場合の生體の適應機轉を生理學的な立場からながめて見たいと考えた。それは生理學に於ては外界氣温や氣壓等の外的環境,或は勞働條件等の生活條件の變化に際する適應機轉に就いては多くの研究があるが,食物環境と言う一面外的な他面又内的な環境條件の變化に際する生體殊に人體の適應現象は少くとも生理學的な立場からはよく觀察せられていない。併しこれは大變重要な事であつて,この樣な研究の成果は臨床醫學や豫防衞生にも非常に有用なものとなるにちがいない。そこで私は先ず當時庶民の常食となつていた大部分芋よりなる食餌(養價2400Cal,蛋白40g)を約40日間とつてその時の生理的機能の變化を觀察して見た。
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