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文献詳細

雑誌文献

生体の科学4巻2号

1952年10月発行

文献概要

論述

血色素の分解反應について

著者: 上代晧三1

所属機関: 1日本醫科大學生化學教室

ページ範囲:P.74 - P.82

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 まえがき
 Hemoglobinから膽汁色素への道は,生理的にも化學的にも既に古くからの問題である。この代謝的分解過程の研究が今日の段階に至るまでに,最も重要な契機をつくつたのは,中間段階物質というか,膽汁色素生成の初段階物質としての意義をbiliverdinに認めたLembergの見透しであつた。そして比較的生理的な條件に近い試驗管反應によつて,hemoglobinおよびhemochromeから緑色をした膽汁色素性の物質への分解に達した數種の模型實驗が報告され,この緑色物質をbiliverdinの前驅體と考えることが研究者の興味の中心となつた。そしてこれら模型反應の過程が,生理的な代謝過程に近いものと推定されているのである。實際にある種の模型反應産物からは容易にbiliverdinが收得されている。箇々の模型反應については後にのべる。
 一般にheme- 蛋白質類にしてもhemochrome類にしても,それらはFeporphyrin- 鹽基錯鹽としてそれぞれ特有の色をもち,特有の分光像を示す。從つてこれらの物質の代謝的變化を追究するには分光學的手段が最も有力である。多くの研究が分光學的方法によつているのはこのためであり,またそれによつてのみ迅速な定量的追跡が可能である。このこともまたこの研究が今日の成果に達した大きな原因である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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