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細胞内記録に使用する増幅器に就て
著者: 古河太郞1
所属機関: 1大阪市立醫科大學生理學教室
ページ範囲:P.133 - P.135
文献購入ページに移動 近時歐米諸国に於て先端外徑1μ以下のガラス製微小電極の應用が漸次盛になつている。大體細胞内に電極を挿入してその膜電位の測定を行おうとする考えは植物細胞等については以前からあつたが,1949年Ling & Gerad1)が電極の先端を極めて細くすると細胞膜を何等挫滅することなく貫通し,内部に入ることに着目し,始めて蛙の縫工筋について膜電位の測定に成功した。しかしこの折は電極にリンゲル液が入つていた爲その電氣抵抗が大きく動作電位の記録は出来なかつたが,後1950年にNastuk & Hodgkin2)が3MKClを入れて電極の抵抗を下げることによつて靜止膜電位と動作電位との記録に成功し,動作電位のovershootingやそれとナトリウムイオン濃度との關係等を明かにした。其後心筋,神経線維等に就ても研究が進められている外,Endplate-potentialの研究もこの方法で一段と進歩した。さてこの微小電極による細胞内記録の應用の第一は上記の様な電氣生理学の理論的方面の研究にあることは明かであるが,第二の應用として脊髄や網膜の様な多数の細胞から成る複雑な組織から單一の細胞の動作電位をとり出して諸録するということが擧げられる。大體細胞外記録では如何に電極の先端を細くしても,單一の細胞の動作電位だけを記録することはむずかしいとされているが3),細胞内記録ではこれが容易に行われるはずである。
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