文献詳細
文献概要
論述
ACTH定量に關する2,3の問題
著者: 中尾健1
所属機関: 1東京慈惠會醫科大學藥理學教室
ページ範囲:P.204 - P.211
文献購入ページに移動至適環境下の生體も外來生の危険刺戟に曝されると,その環境の變化に順應するために一定の防衛反應が起きて來る。其の結果生體の諸種の變化が起きるが,副腎に於ては其變化が特に著明で其の重量は増加し,組織學的にも特にzona fasciculataに著明な機能亢進的の變化が惹起して來る。尚此の組織解剖學的變化と共に副腎中の化學的物質例えばascorbin酸やcholesterolも一過性の減少を來すものである。(Long1)Sayers等2))然し乍ら腦下垂體摘出と云う様な條件下では危険刺戟を與えても,これと化學的物質は減少を來さない。危険刺戟でなくACTH其物を投與した場合には,腦下垂體摘出後20-30時間内で未だ副腎皮質機能が健在な時に限り,ACTHに反應して副腎はascorbin酸及びcholesterolの減少を來して來る(Sayers3))。
特にascorbin酸の減少はACTHによる最も鋭敏な特異的な反應である事が確認され(Sayers 4)),此を應用したのが有名なSayersのACTHの"Ascorbic Acid Depletion Method"で現在米國のACTHの生物検定は專ら此の方法に依つている。
掲載誌情報