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文献詳細

雑誌文献

生体の科学4巻5号

1953年04月発行

文献概要

論述

腎臟糸球體の分泌機能について

著者: 吉村不二夫1 須永吉郞1

所属機関: 1群馬大學醫學部解剖學教室

ページ範囲:P.222 - P.227

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 1.緒言
 糸球體の機能に關しては昔からLudwig-Cushnyの物理的濾過説が一般に信奉せられて來たが,更にRichards一派15)20)21)の多くの研究がありまたZimmermann22)23)24)はこの説を形態學的に裏づけるような所見を發表したので,この説は益々鞏固なものになつたかの觀がある。しかるに田村憲造氏17)はこの濾過説をもつてしては容易に説明のつき難い色々の實驗結果に遭遇し,糸球體細胞の積極的な働きを想定しなければ到抵その機序を明かにすることができないと述べた。その主な實驗根據は,尿管を結紮してBowman氏腔(以下B氏腔と記す)の内壓を糸球體毛細血管係蹄の血壓よりも高くして尚尿成分がB氏腔に排出されると云うのである。我々は,過去の研究者が兩棲類を材料として實驗を行つたのでこれにならい,兩棲類の糸球體細胞の構造を詳しく觀察したところ,後に述べる如く蓋細胞に明かに分泌現象をみたのである。このことは田村氏の説を形態學的に裏づける結果となる。そうして更にこのような分泌機能は健常な人においてのみならず多くの哺乳動物においても存在するであろうことがほゞ形態學的に確められたので以下報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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