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文献詳細

雑誌文献

生体の科学4巻6号

1953年06月発行

文献概要

論述

腦組織に於けるグルタミン酸代謝

著者: 臺弘1

所属機関: 1都立松澤病院 化學室

ページ範囲:P.244 - P.250

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 1.まえがき
 腦組織におけるグルタミン酸代謝の問題は生化學的研究の成果と臨床的經驗の二方面から近來注目をあびるようになつて來た。
 グルタミン酸は腦組織で酸化をうける唯一のアミノ酸であるばかりでなく,この酸の脱炭酸反應は腦にのみ著明に認められる。またグルタミン酸及び之に關連する物質であるグルタミン,γ-アミノ酪酸の總量は腦内遊離N化合物の70%を占める濃度に含まれて居る。即ちグルタミン酸は約0.01m/kg(150mg/100g),グルタミンとγ-アミノ酪酸は各々約0.004〜5m/kg(60mg/100g)の濃度にあり1)2)3),之は肝や腎の樣な他の臓器に比して著しく多いものである。他方臨床的にはPrice,Waelsch等がグルタミン酸の投與によつて癲癇の小發作型の患者に鎮痙的效果のあることを報じ更に之より發展して精神薄弱者の智能改善に役立つとZimmerman等が強調して以來,通俗的にも甚だ有名になつたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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