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Spectrophotometryによる血清蛋白質と色素イオンの結合に關する研究1)2)3)
著者: 楠智一1 島尾和男2
所属機関: 1國立公衆衛生院 榮養生化學部 2東京大學醫學部 生化學教室
ページ範囲:P.260 - P.268
文献購入ページに移動近年血漿蛋白質の研究はTiselius4)の電氣泳動法とCohn5)のエタノール分劃法が導入されて以來,急速に進歩した。特に多くの物理化學者によつて各蛋白分劃の分子恒數が相次で計算され6)この方面の知見は嘗て見なかつた程の速度を以て集積されつゝある。これ等の知見に基づいて各分劃の持つ機能が,その物理化學的な性状とどの樣な關係にあるかを知ることは困難ではあるけれども興味深く且つ重要な問題である。一方血清蛋白は多くの場合リポイド,糖質をはじめ有機,無機各種の物質と結合しまたはこれを分離すると云う過程を通じてその機能を營むものと考えられる。從つてかゝる結合,分離の模樣を定量的に検索することは取りもなおさず上に記した「機能と性状の關係を知る」ために甚だ重要な手懸りを與えるものと思われる。
我々はその樣な見通しの下に血清蛋白各分劃,主としてアルブミン(以下alb.と記す)とγ-グロブリン(以下γ-glob.と記す)について種々の色素イオンとの結合の性状を比較した。この實驗は未だ漸く緒についたばかりであるが,一應今迄に得られた結果の概略を述べ,讀者の批判を仰ぎたい。但し紙數に限りがあるのでこの方面に關して残された先人の業蹟は,我々の知見に直接關係あるものにかぎつて言及した。
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