文献詳細
文献概要
特集 分子進化
カルシウム結合蛋白質の進化
著者: 戸田弘子1 近藤淑2 八木康一3
所属機関: 1大阪大学蛋白質研究所化学構造部門 2相模中央化学研究所 3北海道大学理学部化学第二学科
ページ範囲:P.24 - P.31
文献購入ページに移動そのほか,細胞内にはCa2+情報伝達に働いている一群のカルシウム結合蛋白質がある。20年前に,Ca2+がシグナルの働きをしているとはっきりわかっていたのは,横紋筋収縮だけであった1)。筋肉以外の細胞にまでこの考えを拡張しようと最初に主張したのはR.H.Kretsingerである。彼は,パルブアルブミンの結晶構造に基づいて,細胞内にあるカルシウム結合蛋白質の性質を次のように規定した2)。1)細胞内でカルシウムシグナルの仲介を行う。2)数mMのマグネシウムイオンをふくむ細胞質中で,Ca2+にたいする結合の解離定数はμMレベルである。3)EFハンド構造をもつ(EFハンド構造についてはあとで説明する)。その後,Ca2+を強く結合する蛋白質が多数見出されたが,その大半はパルブアルブミンと相同の一次構造を持つEFハンド型の蛋白質であった。
掲載誌情報