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連載講座 チャネル研究の新展開
ATPに制御されるKチャネル
著者: 野間昭典1
所属機関: 1九州大学医学部生理学教室
ページ範囲:P.51 - P.55
文献購入ページに移動 細胞の膜電位にはほとんど影響されないが,細胞内のATP濃度の減少によって活性化するカリウムチャネルが見つかっている。心筋ではあたかも細胞内のATPレベルをモニターし,それが減少すると細胞膜電位を負電位に変化させ,細胞の興奮性を抑制する役割を担っているように見える。心臓の栄養血管である冠動脈の血流が障害されると興奮性が減少するが,その際にこのチャネルが関与していると考えられている。骨格筋に見られる同種のチャネルは,筋が疲労したとき細胞外にKイオンの蓄積が起こる事に関係し,膵臓のB細胞ではグルコース刺激による膜脱分極に関与していると考えられている。実験的に記録しやすいチャネルであるので,生物物理学的な興味からもよく研究されているチャネルである。
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