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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻2号

1989年04月発行

特集 大脳/神経科学からのアプローチ

神経生物学からみた脳の損傷修復とグリア細胞の反応

著者: 北村忠久1

所属機関: 1塩野義製薬研究所

ページ範囲:P.90 - P.94

文献概要

 脳をめぐるホットな話題の一つに損傷を受けた脳の修復と神経再生をめぐる問題がある。脳の傷が修復してくるにつれてグリア細胞による瘢痕組織が形成される。グリア瘢痕には従来は体の他の部分の瘢痕と同様に単に損傷部を補填し,障害が拡散することを物理的に防ぐと言う意義が想定されていたにすぎないが,最近では神経軸索の再生を阻止する因子として注目されるようになった。高等脊椎動物の神経系では再生してきた軸索がグリア瘢痕のために伸長を妨げられてしまうが1),魚類などでは脊髄に起こったグリア瘢痕を再生軸索が通過してゆくことが知られている2)。グリア瘢痕のどの側面が軸索伸長に影響を与えているのであろうか。グリア瘢痕のメカニズムの解明は中枢神経系の機能再生を考える上でも大きな意義があるものと思われる。ここでは生体内に起こっているグリア瘢痕の実態を紹介し,これをめぐる生物科学的な二,三の問題点について述べてみよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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