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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻3号

1989年06月発行

文献概要

特集 細胞骨格異常

細胞ガン化とトロポミオシン発現異常

著者: 松村文夫1 石川良樹1 山代茂子1

所属機関: 1State University of New JerseyRutgers University(Department of Molecular Biology and Biochemistry, Nelson Laboratory Busch Campus)

ページ範囲:P.172 - P.176

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 細胞はガン化に伴って代謝の変化,細胞表面の変化,増殖の変化,細胞の運動と形態の変化など,多くの表現型の変化を引きおこす。その中で,形態変化については,古くから,ガン細胞を見分ける手段として使われてきた。また,もとのガン細胞が移動して他の場所に落ちついて増殖しはじめる転移の問題を考えると,必ずガン細胞の運動性とか,接着性とかが問題としてうかびあがってくる。その運動と形態を維持する上で,重要な役割をもつのが,アクチン・トロポミオシン・ミオシン・α-アクチニンなどからなるマイクロフィラメント系である。
 トロポミオシンの細胞運動における役割は骨格筋ではわかっている。トロポミオシンはCa2+結合蛋白であるトロポニンと複合体を作り,Ca2+のある,なしでアクチン・ミオシン間の相互作用を調節し,筋肉の収縮・弛緩を制御している。一方,非筋細胞では,いまだにトロポニン様蛋白が同定されていないこともあって,はっきりわかっていない。螢光抗体法で培養細胞におけるトロポミオシンの局在を調べると,構造的に比較的安定なストレスファイバーに存在し,運動性の高いRuffling membrancやmicrospikeには存在していないことが示唆されている1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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