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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻3号

1989年06月発行

文献概要

特集 細胞骨格異常

腫瘍細胞における中間径フィラメント蛋白の発現

著者: 向井万起男1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.182 - P.185

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 中間径フィラメント(intermediate filament:IF)は,細胞質内の直径10nmの線維の総称で,微小管(直径25nm)とマイクロフィラメント(直径7nm)の中間の直径を有することで名付けられている。IFとしては,現在5種類の蛋白が知られており,おのおのが細胞・組織特異性をもって分布している。すなわち,上皮細胞のケラチン,間葉系細胞のビメンチン,筋細胞のデスミン,星状膠細胞のglial fibrillary acidic protein,神経細胞のneurofilamentである。この特異性は,腫瘍細胞においても保持され,その由来する細胞・組織特有のIFが発現すると予想される。実際,腫瘍病理学の分野にIFの免疫組織化学が応用された当初は,実に明快な特異的発現が期待通りに示されていた1-3)。しかし,その後の広汎な検索の結果,正常細胞・組織においても,この特異性は厳密なものではないことが示され,さらに,腫瘍細胞においてはなお一層厳密さを欠き,複雑で様々な発現パターンを示すことがわかってきている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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