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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻3号

1989年06月発行

特集 細胞骨格異常

神経疾患における中間径フィラメント異常

著者: 石田陽一1

所属機関: 1群馬大学医学部第一病理学教室

ページ範囲:P.186 - P.192

文献概要

 神経系を構成する細胞には中間径フィラメント(intermediate filament以下IF)として神経細糸(neurofilament),グリア細線維(glial filament),ビメンチンが知られている1)。神経細糸は神経細胞の軸索や樹状突起に認められる直径約10nmのIFで,微小管とともに細胞骨格を形成している。神経細糸を構成する蛋白(neurofilament protein以下NFP)は68Kd,160Kd,200Kdのsubunit(triplet)からなっている2)。3種のsubunitのうち,68Kd subunitがNFPの中核をなす蛋白と考えられており,Shawら3)の研究によるとラット脳と視神経では200Kd subunitは発達の過程でもっとも遅れて発現する。神経組織の個有の間質細胞であるグリアのIFを構成する蛋白はglial fibrillary acidicprotein(GFAP)で,主として星形グリアに検出される。GFAPの分子量は報告者により異なるが,約50Kdである。ビメンチンは多くの間葉系細胞のIFを構成する蛋白で,神経系では髄膜上皮とクモ膜の間葉系細胞,脳脊髄神経のシュワン細胞に検出される4)。グリアとくに星形グリアではビメンチンとGFAPの重複発現がみられるが,成熟神経組織ではその量が少ないためか免疫組織学的には検出しにくい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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