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特集 細胞骨格異常
文献概要
骨格筋の変性を伴う疾患には,筋の遺伝性かつ進行性変性を主徴とする筋ジストロフィーの他に,自己免疫疾患と考えられる多発性筋炎・皮膚筋炎,先天性ミオパチーに分類されるミトコンドリア脳筋症・ネマリンミオパチー・セントラルコア病・遠位型ミオパチー・サルコチューブラーミオパチー・筋線維型不均一症,代謝異常である糖原病・カルニチン欠損・AMPデアミナーゼ欠損症,ならびに周期性四肢麻痺,内分泌性ミオパチー,悪性高熱症などがある1)。この中で,細胞骨格にはっきりと異常の認められるものとしては筋線維内に主としてアクチン結合タンパク質を含むZ線構成物質から成るロッドが認められるネマリンミオパチー,小胞体の増生が顕著なサルコチューブラーミオパチー,筋小胞体ライアノジンレセプター異常が示唆される悪性高熱症などがあげられるが,生化学的検討も少なく遺伝子異常の直接的証拠もないため二次的な現象である可能性も否定しきれない。本論では,私たちの研究室で明らかとなったDuchenne/Becker型筋ジストロフィーでの細胞膜タンパク質ジストロフィンの欠損について考察を加え2,3),最近の研究の動向を紹介することとする。
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