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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻3号

1989年06月発行

文献概要

特集 細胞骨格異常

表皮疾患と細胞骨格

著者: 北島康雄1

所属機関: 1自治医科大学皮膚科

ページ範囲:P.212 - P.216

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 表皮細胞における細胞骨格は他の組織の細胞と同様にマイクロフィラメント,微小管,中間径フィラメント(IF)からなる。表皮の細胞骨格が他の組織の細胞のそれと異なっている点は,IFが上皮系細胞に特異的なケラチンであり,かつ,量的に表皮細胞の全蛋白質の約70%を占める主要な構造蛋白質であるということてある1)
 さて,IFは太さ10nmの,αヘリックス構造を基本とする線維で,細胞質内で核周辺から細胞辺縁にまで放射状に分布する網状構造を形成する2)。表皮では形態学的にトノフィラメントとも呼ばれ,細胞膜でデスモソームに結合し,これを介して隣接した細胞のトノフィラメントと互いに連結し,表皮組織全体としての線維性ネットワークを構築している。IFの真核細胞における一般的機能については細胞の物理的強度に関与するということ以外はいまのところ明らかではない2)が,表皮のIF,すなわちケラチン中間径フィラメント(KIF)は,上述したようなデスモソームを介したネットワーク構造を形成することから表皮のシートとしての構造を保持するという機能を有していると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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