文献詳細
連載講座 チャネル研究の新展開
文献概要
Caイオンは細胞内の情報伝達分子(セカンドメッセンジャー)としてはきわめて望ましい性質を持っている。すなわち,(1)刺激を加えることによりCa2+の細胞内レベルが急速に上昇し,かつ速やかに下降する,(2)Caイオン濃度を一定に保つような緩衝液を試験管内で作ることができる,(3)細胞内Ca濃度およびそれらの変化を直接的間接的にリアルタイムで測定できる,(4)Ca2+はMg2+と多くの点で似かよった性質を持つにもかかわらず,酵素系の多くは両者を峻別できる,等々である。
このようにCaイオンは優れた情報伝達物質であるが,これが細胞内ストアや細胞外からCaチャネルを通して一瞬のうちに細胞質へ供給可能な体制になっているということは,神経伝達物質の遊離や,ホルモン分泌といった時間的に速い現象を引き起こす際に,他のメッセンジャー(たとえばcAMP)と比較して圧倒的に有利な条件を備えているものといえよう。そこでこの小論ではCaチャネルのうち,膜電位依存性にその開閉が制御されているCaチャネルに焦点を絞り,その研究の現状,そして今後に残された問題点などを概観してみたい。なお筆者の能力の関係上話題はもっぱら神経系のCaチャネルに偏ることをご了解頂きたい。
このようにCaイオンは優れた情報伝達物質であるが,これが細胞内ストアや細胞外からCaチャネルを通して一瞬のうちに細胞質へ供給可能な体制になっているということは,神経伝達物質の遊離や,ホルモン分泌といった時間的に速い現象を引き起こす際に,他のメッセンジャー(たとえばcAMP)と比較して圧倒的に有利な条件を備えているものといえよう。そこでこの小論ではCaチャネルのうち,膜電位依存性にその開閉が制御されているCaチャネルに焦点を絞り,その研究の現状,そして今後に残された問題点などを概観してみたい。なお筆者の能力の関係上話題はもっぱら神経系のCaチャネルに偏ることをご了解頂きたい。
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