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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻3号

1989年06月発行

実験講座

微小バイオセンサーの製作とその応用

著者: 民谷栄一1

所属機関: 1東京大学先端科学技術研究センター

ページ範囲:P.226 - P.231

文献概要

 バイオセンサーは,分子識別機能の優れた生体物質とトランスジューサー(信号変換部)から構成され,選択性のきわめて優れたセンサーシステムである(図1)1,2)。すでに医療計測,環境分析,工業プロセス計測などへの応用開発が進展している。とくに,最近,バイオセンサーの微小化,集積化,大量生産化を可能にしようとする試みが行われている。こうした微小なバイオセンサーは体内埋め込みを可能とし,体内モニタリング,人工臓器などの開発を中心に,医療分野に与える影響は計りしれない。また集積化の実現によって同時に複数成分を測定する多機能センサーが作製でき,分析効率の向上が期待できる。さらに大量生産化によって,バイオセンサーの汎用化を強力に推進することができる。
 一般に,バイオセンサーを作製するための基盤技術としては,1)トランスジューサーの選択および作製,2)酵素や抗体などの生体素子の調製,3)生体素子のトランスジューサーへの固定化,4)センサー応答の信号処理,などがあげられる。このなかで,とくに1)と3)については,冒頭でも述べた微小バイオセンサーを実現するうえで十分に検討すべき課題である。というのも,従来のバイオセンサーで多く用いられてきたトランスジューサーである酸素電極,pH電極では,微小化,集積化,大量生産化に限界があるためである。また,微小部位にのみ,生体素子を固定化するための新たな生体素子固定化技術も必要不可欠である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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