icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

特集 研究室で役に立つ新しい試薬

基礎試薬(一般実験試薬) 界面活性剤

界面活性剤(総論)

著者: 武居能樹1

所属機関: 1岐阜大学教養部化学科

ページ範囲:P.260 - P.262

文献概要

 界面活性剤の膜タンパク質に関わる利用面に話を限定する。膜タンパク質は細胞社会での物質交流,エネルギー変換および情報伝達において重要な働きをしている。膜タンパク質の機能の研究を現象的な記述に留めず,分子論的な解析にまで進めていくためにはその分子構造を知ることが不可欠であり,それには純化した膜タンパク質の獲得を経るのがもっとも確実な道である。膜タンパク質の膜存在様式はそのcDNAから推測されるアミノ酸配列に基づいて考察できるが,現状では,推定された存在様式はまったく一つの可能性を示しているに過ぎない。現在,タンパク質の構造を知るのにもっとも有力な方法はX線結晶解析法である。膜タンパク質の結晶化は非常に困難であったが,最近,いくつかの膜タンパク質が結晶化され1),他の膜タンパク質についても結晶化は夢でなくなってきた。膜タンパク質を無傷のまま可溶化できるのは一般的には界面活性剤しかなく,結晶化を含めてその精製の成否を左右する重要なポイントは如何なる界面活性剤を使用するかにある。そこで,界面活性剤の使用に関して具体的な一般的指針があれば好都合である。しかし,多くの研究者が様々の界面活性剤を用いて種々の膜タンパク質を可溶化,精製してきて明らかになったことは,端的にいえば,「この膜タンパク質にはこの界面活性剤がよいと予見することはできない。どれと限ることなく色々と試みて見よ」ということである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら