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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

特集 研究室で役に立つ新しい試薬

蛋白質,その他修飾試薬 ビオチン—アビジン試薬

ビオチン-アビジン試薬(総論)

著者: 須藤和夫1

所属機関: 1東京大学教養学部基礎科学科

ページ範囲:P.302 - P.304

文献概要

 ビオチン(Biotin)(ビタミンH)は図1に示す分子構造を持つ。一方,卵白中には,アビジン(avidin)と呼ばれるビオチンに強く結合するタンパク質が存在する。また,streptomyces avidiniiという細菌はストレプトアビジン(streptavidin)というアビジンよりすこし小さいが機能はアビジンにそっくりなタンパク質を生産する。アビジンは分子量17,000のサブユニット4個からできており,4箇所のビオチンに対する結合部位を持っている。アビジンとビオチンの相互作用は,自然界に存在するタンパク質とリガンドの結合としてはもっとも強く,その解離定数は10−15Mにも達する。生化学,分子生物学あるいは細胞生物学の分野で,この強いアビジン-ビオチン間の結合を利用したさまざまな試薬や実験法が開発されている。アビジンは塩基性の強いタンパク質で他のタンパク質と非特異的な相互作用をしやすいので,市販の試薬キットなどではアビジンと同じ機能を持ちながらこのようなことのないストレプトアビジンを用いることが多い。ただ,ストレプトアビジンはアビジンに比べて高価なので(フナコシ薬品などが市販している),アビジンをスクシニル化し非特異的吸着を減らして利用することも可能である1)。またメーカー(Vector社注1))によっては非特異的吸着の少ないアビジンをアフィニティクロマトグラフィで精製して販売しているところもある(商品名はavidin D)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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