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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

文献概要

特集 研究室で役に立つ新しい試薬 活性制御試薬 プロテインキナーゼ阻害剤

プロテインキナーゼ阻害剤(総論)

著者: 加瀬広1

所属機関: 1協和発酵医薬研究所

ページ範囲:P.357 - P.360

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 プロテインキナーゼは基質蛋白質を燐酸化し機能調節を行う酵素の一群であり,細胞の多様な生理機能の調節機構において重要な役割を果していると考えられている。それらの多くはTPAをリン酸供与体とし,そのγ-リン酸基を基質蛋白質の特定なアミノ酸残基(セリン/スレオニン,チロシン)に転移する反応を触媒する。1959年Krebsらのホスホリラーゼbキナーゼの発見単離以来,cAMP依存性プロテインキナーゼ(A-キナーゼ),cGMP依存性プロテインキナーゼ(G-キナーゼ),ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK),プロテインキナーゼCなどのいくつかの重要な酵素が発見されてきたが,とくに1980年以降遺伝子組み換えの手法が有効に応用されて,癌遺伝子産物のプロテイン-チロシンキナーゼ(以下チロシンキナーゼ)を中心とする新しい酵素や,従来の酵素のサブタイプの発見,構造解明が相次ぎ,現在までその数は100を越えるに至っている2,4)。これらの個々の酵素がどのような細胞機能に関与しているかは,多くは未解決の問題として残されている。この問題の解明にプロテインキナーゼ阻害剤を用いた解析は有効な一つの手段と考えられる。
 表1にこれまで報告された主なプロテインキナーゼ阻害剤をその(推定)作用部位と阻害の選択性から分類しまとめた。作用部位は酵素の阻害様式に基づいて決められたものであり,選択性はいくつかの主要なプロテインキナーゼについてのみ調べられた結果を示してある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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