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特集 研究室で役に立つ新しい試薬 活性制御試薬 ヌクレオチドおよび類似物
Caged ATP
著者: 原田慶恵1
所属機関: 1大阪大学基礎工学部生物工学科
ページ範囲:P.394 - P.395
文献購入ページに移動 ■特性および構造
試験管内でATP濃度ジャンプを行い,それによって引き起こされる化学反応の過渡的状態について研究する場合,一般にラピッドミキシング法が用いられてきた。しかし,組織内のATP濃度を瞬時に変えたい場合や,顕微鏡下でATP分解反応に伴った現象を追跡したい場合などは,ラピッドミキシング法を用いることはできない。そこで,光化学分解によってATPの濃度ジャンプを行うことができるcaged ATPが開発された1)。
Caged ATPは図1に示すように,ATPと紫外線照射によって解離する化合物との複合体からなっている(分子量〜722,ε260nm=19,600M−1cm−1)。Caged ATPはタンパク質分子内のATP結合部位と何ら相互作用することはない。図に示す反応によってcaged ATPはATPと2-nitrosoacetophenoneに光分解される。そしてATPのイオン化状態に依存してH+も放出される。その光分解反応速度はpHに依存しており,たとえばpH 6.5で103s−1,pH7.0で200s−1,pH7.5で80s−1である2)。
試験管内でATP濃度ジャンプを行い,それによって引き起こされる化学反応の過渡的状態について研究する場合,一般にラピッドミキシング法が用いられてきた。しかし,組織内のATP濃度を瞬時に変えたい場合や,顕微鏡下でATP分解反応に伴った現象を追跡したい場合などは,ラピッドミキシング法を用いることはできない。そこで,光化学分解によってATPの濃度ジャンプを行うことができるcaged ATPが開発された1)。
Caged ATPは図1に示すように,ATPと紫外線照射によって解離する化合物との複合体からなっている(分子量〜722,ε260nm=19,600M−1cm−1)。Caged ATPはタンパク質分子内のATP結合部位と何ら相互作用することはない。図に示す反応によってcaged ATPはATPと2-nitrosoacetophenoneに光分解される。そしてATPのイオン化状態に依存してH+も放出される。その光分解反応速度はpHに依存しており,たとえばpH 6.5で103s−1,pH7.0で200s−1,pH7.5で80s−1である2)。
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