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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

特集 研究室で役に立つ新しい試薬

膜関連試薬 カルシウムチャネル関連試薬

l-シス-ジルチアゼム

著者: 長尾拓1

所属機関: 1東京大学薬学部毒性薬理学教室

ページ範囲:P.419 - P.419

文献概要

 ■薬理作用および構造
 代表的なカルシウム拮抗薬の一つであるdiltiazemは1,5-ベンゾチアゼピン骨格に二つの不斉炭素原子を持ち,cis,trans異性体および,それぞれの光学活性体が存在する。薬理活性,とくに冠血管拡張作用は,cis体で強いことが明らかにされ,trans体にはほとんど作用が認められなかった1)。diltiazemはd-cis体であり,カルシウム拮抗作用も早くからd-cis体に強いことが知られていた2)。カルシウム拮抗薬として,立体構造が重要なことが知られた最初の例である。diltiazem(d-cis)の立体異性体であるl-cis体の分子量は451であり,その構造式を図1に示した。l-cis-diltiazemは,血管拡張作用の他,平滑筋に対する作用もd-cis体よりかなり弱かったが,中枢作用はl-cis体にあり,d-cis体には見るべきものがない。局所麻酔作用は,l-cis体とd-cis体で差がなかった3)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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