icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

文献概要

特集 研究室で役に立つ新しい試薬 膜関連試薬 ナトリウムチャネル関連試薬

ブレベトキシン

著者: 坂東英雄1

所属機関: 1北海道薬科大学薬化学研究室

ページ範囲:P.430 - P.431

文献購入ページに移動
 ■特性および構造
 ブレベトキシンはフロリダ沖の赤潮に関係している渦鞭毛藻,GYmondinium breve(Ptychodiscus brevis)から単離された脂溶性のポリエーテル型のトキシンである。そのトキシンは構造上,2種類の基本骨格を持つ化合物に分類され(図1,a,b),現在までに7種類の化合物の構造が決定されている1,2)
 ラットの心臓標本で,10−8M濃度で陽性変力的な不整脈を引き起こし,その効果はテトロドトキシンによって阻害される。またNa,K-ATPaseの活性を阻害しない。この神経毒はNaチャネルの第5薬物レセプター部に結合して膜の脱分極を引き起こし,テトロドトキシンによってその分極は阻害される3)。ラット脳のシナプトソームにおいて,バトラコトキシンやアコニチンなどのNaチャネルの第2薬物レセプター部への結合力を増大させる。またα-サソリ毒には影響しないが,β-サソリ毒の第4レセプター部への結合力も増大させる4,5)。最強毒のBrevetoxin-Aについては標識された化合物がないので今後の研究が待たれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?