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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

文献概要

特集 研究室で役に立つ新しい試薬 膜関連試薬 アラキドン酸カスケード修飾試薬

アラキドン酸カスケード修飾試薬(総論)

著者: 清水孝雄1

所属機関: 1東京大学医学部栄養学教室

ページ範囲:P.432 - P.435

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 ■アラキドン酸力スケードと細胞間情報伝達
 炭素数20(C20)の不飽和脂肪酸であるアラキドン酸よりプロスタグランディン(以下PG),トロンボキセン(TX),ロイコトリエン(LT),リポキシン(LX)などの生理活性物質が作られる。これらエイコサノイド(ラテン語で20をエイコサ,eicosa-と呼ぶ)は表1に示したように血圧調節,血小板凝集の制御,神経系,免疫系などで多彩な役割を果たしており,生体のもっとも重要なモデュレーターの一つと考えられている。エイコサノイドは一般にはパラクリン的に働く一種のオータコイド(局所ホルモン)と考えられており,プロスタサイクリン,トロンボキセンによる血小板や血管平滑筋に対する作用がその代表的様式である。
 筆者らは1979年当時,PGD2が神経系におけるneuromodulatorという考え方を提唱したが1),最近の研究ではむしろアラキドン酸リポキシゲナーゼ系産物が細胞内でのセカンドメッセンジャーとしての役割を果たしていると考えられている。1987年Nature誌に掲載されたKandelらのグループによるアメフラシの感覚ニューロンの実験が最初であり2),続けてKurachi,Kimらがモルモットあるいはラット心房細胞でG蛋白にカップルしたポタシウムチャネル開口にLTC4が関与することを見つけた3,4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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