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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

文献概要

特集 研究室で役に立つ新しい試薬 膜関連試薬 リポソーム関連試薬

リポソーム関連試薬(総論)

著者: 香川靖雄1

所属機関: 1自治医科大学生化学教室

ページ範囲:P.444 - P.448

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 ■二分子層膜小胞
 リポソーム(liposome)とは脂質二分子層膜の小胞である(図1)。脂質の分子の大きさから,二分子膜の厚さは図1のように約50〜70Åとなり,また安定な小胞の直径は200〜1,000Å程度となる。細胞は外側の形質膜をはじめ,内部の細胞小器官の多くが生体膜でできているが,生体膜の基本構造は脂質二分子膜に各種の膜タンパク質が組み込まれた構造であるために,ここで述べるリポソームは生体の科学にとって,重要なモデル系となっているのである。一般にリポソームと言えば図1のような一層の膜小胞(単ラメラ小胞small unilamellarvesicle,SUV)を指すが,図2に示すように同心円状に小胞膜が重なった多重ラメラ小胞(multilamellar vesicle,MLV)もある。その脂質は,リン脂質,糖脂質などの極性脂質で,膨潤性不溶性両親媒性物質(swelling insoluble amphiphiles)に属する。これらの脂質を水相に懸濁させて,超音波処理をするか,有機溶媒や可溶性両親媒性物質(soluble amphiphiles)に溶かして後,透析などで溶媒や界面活性剤を除去すると,図1に示すような小胞が形成される。
 リポソームが閉じた構造を持つことは図3に示すように,リポソーム形成前に加えたフェリチンが小胞内に取り込まれて,これを洗ってもフェリチンが失われないことから示される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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