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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

文献概要

特集 研究室で役に立つ新しい試薬 セカンドメッセンジャー関連試薬 GTP結合蛋白関連試薬

ジフテリア毒素

著者: 木戸充1 内田驍1

所属機関: 1大阪大学細胞工学センター

ページ範囲:P.468 - P.468

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 ■構造および特性
 ジフテリア毒素は,分子量約60Kの単純タンパク質で,Corynebacterium diphteriaeに毒素遺伝子(tox)を持つβファージが感染または溶原化したとき,菌体外に分泌される。タンパク質合成伸長因子(EF-2)を,ADP-リボシル化して失活させる酵素活性を持ち,感受性動物および由来の細胞を死に至らしめる1,2)。毒素タンパク質の構造は機能分担されている(図1)。還元剤の存在下,トリプシンで温和に処理すると,フラグメントA(分子量約20K)とフラグメントB(分子量約40K)に分離する。フラグメントAはADPリボシル化活性を持ち,フラグメントBは感受性細胞表面のリセプターに結合し,フラグメントAを細胞内に送り込む活性をもっている。フラグメントAのみを産生する変異株も樹立されている。フラグメントAの活性は,真核細胞のEF-2に特異的で,植物,動物,酵母に至るまで働くが,原核細胞性のバクテリアおよびミトコンドリアのEF-Gには働かない。一方,毒性は,細胞膜上のリセプターの有無によって左右されるので,働く範囲が狭まり,ヒト,サル,ハムスター,モルモット,ニワトリ由来の細胞は感受性だが,マウスとラット由来の細胞は非感受性である。マウス,ラット由来の細胞には,PseudomonasのエクソトキシンAが効く。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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