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文献詳細

雑誌文献

生体の科学40巻4号

1989年08月発行

文献概要

特集 研究室で役に立つ新しい試薬 糖関連化学物質(試薬) 糖鎖分解酵素(グリコシダーゼ)

糖鎖分解酵素(グリコシダーゼ)(総論)

著者: 宮城妙子1 立木蔚1

所属機関: 1東北大学抗酸菌病研究所生化学

ページ範囲:P.499 - P.501

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 複合糖質の糖鎖構造や機能の解析にはグリコシダーゼが非常に有用である。グリコシダーゼは複合糖質を糖とアグリコンに加水分解する酵素であるが,その触媒作用の特異性と反応条件を利用するので,緩和な状態でタンパク部分や脂質部分の分解なしに特異的に糖鎖を切り出すことができる。とくに,対象が組織や細胞である場合や,糖鎖の生理的機能に関する研究には不可欠である。グリコシダーゼは,切断する糖の種類やアノマー構造には非常に特異性が高いが,一般にアグリコンの性質には比較的寛容であるとされている。しかしながら,アグリコン特異性がきわめて厳密なものもあり,酵素起源により,相対的特異性やアグリコン特異性が著しく異なることも少なくない。
 グリコシダーゼには,糖鎖の非還元末端から特定の単糖を遊離するエキソ型と,複数の糖残基から成る特定の構造部分を認識し,オリゴ糖を切り出すエンド型があり,細菌,カビ,植物,軟体動物,哺乳動物に至るまで広く分布している。分離・精製され,試薬として汎用されているものも多いが,それぞれの詳しい性状や試薬としての使用法などについては各論に譲り,ここでは,グリコシダーゼの大まかな種類と一般的性状を述べるにとどめる。なお,グリコサミノグリカン分解に関するグリコシダーゼについては,ページ数に限りがあるので触れなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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